高知県仁淀川の深山にある棚田です。いつごろできたのでしょうか。稲作は古い時代からつくりましたが本格的な耕作は江戸時代と考えられます。ここに谷や山から石を運び築きあげたのでしょう。重い石を素手で持ち血を出しながら重ねていったことでしょう。ひとつの山を階段の棚田にデザインする智慧には只驚くばかりです。測量する道具もなく頭の中で切ったり盛ったりして田んぼをつくりあげたのです。この景観の石垣を見て永い歳月をかけた労働に尊いものを教えられます。この地も山村の不便な奥地で冬は雪の降るところ必死で生きたことでしょう。働いて働いて質素倹約で暮らしたことと思います。ここもお年寄りが多くなり田んぼも耕作できなくなり花など植えています。私が行ったときは菖蒲を手入れしていましたが、イベントを行いお客さんを呼ぶのだと言っていました。生まれ育った郷愁の故郷もいつかは瞼を閉じて浮かべる景色になるでしょう。 積み上げられた石垣の棚田は人間の尊い労働と自然が手を結んでつくられた景観、山村の原風景です。みなさんは山村の自然、風景を見てどう思いますか。歴史がつくりあげた田畑人家暮らした生きざまのある景色に感動をすると思います。心の中に入る記憶の風景であると思います。振り返り苦楽を思い出すこともあるでしょう。棚田は水の調整や保水など公益の機能もありますが、私たちの精神にも住みつく大切なものを与えてくれます。この棚田も山村の衰退で放置されています。個人の力ではもう守れない状況なのですね。自然は生きるために人間の創造したものです。壊しても失ってもいけません。おや、どこからか「おれたちの苦労を仇で返すのか」と祖先の叱責が聞こえそうですね。
by aokinature
| 2012-07-10 22:17
| 棚田
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